遺品整理

遺品整理の現場はどうなっている?事例と仕事内容など解説

故人の私物を片付けることが業務である遺品整理の現場は、普通に家の中の片付けをする仕事内容なのでしょうか?それとも遺品整理の現場には、普通の家とは違う状態のところもあるのか気になる部分があります。

今回は遺品整理の現場にどのような案件があるか、事例や仕事内容など含めて解説いたします。遺品整理の仕事について知る参考に、ぜひ活用してください。

遺品整理の現場は特殊案件も多い

遺品整理の仕事内容は、主に故人の私物の片付けになります。遺品整理の依頼で訪れる現場は普通の家ばかりではなく、家の状態や故人の死因が訳アリの特殊案件も多いです。

高齢者の一人暮らしも増えている状況もあり、遺品整理業者でも特殊案件の取り扱いが年々増えてきています。

現場がゴミ屋敷

遺品整理でよくある特殊案件の1つは、片付ける現場がゴミ屋敷状態になっている家です。故人が掃除嫌いか病気で体を動かすのが大変だったのか事情は様々ですが、ゴミ屋敷状態になっている家の荒れぐあいは半端ではありません。

ゴミ屋敷状態の現場の事例では「床全部に物が溢れていて足の踏み場がない」、ひどいと「天井まで物が積み重なっている」というのがよくあります。遺品整理を行う現場がゴミ屋敷状態になっていると、チェックする遺品が多いので集中力と体力が必要になります。

物が多すぎない普通の家の遺品整理だと2~8時間ほどで終わりますが、現場がゴミ屋敷状態の依頼では1日以上かかるかもしれません。

孤独死・自殺した現場

遺品整理でよくある特殊案件のもう1つは、故人が家の中で孤独死・自殺した現場になります。孤独死は死後すぐに故人の遺体が発見されているなら問題ないのですが、誰にも気付かれず時間が経ってしまうと特殊案件扱いです。

故人が孤独死・自殺した現場は、視覚的・嗅覚的なキツさがあります。共通する事例として「室内に故人の体液や血液が散っている」、「床や壁にうじ虫が這っている」、「鼻につく死臭が漂っている」などが多く現場での作業は大変です。

故人が孤独死・自殺した現場では遺品を片付ける前に室内を作業できる状態にするため、まず清掃作業から取りかかります。通常の流れだと遺品を片付けてから掃除をしますが、こういった故人の死因が関わる特殊案件では違います。

遺品整理の現場仕事の面白い要素

遺品整理の現場仕事は苦労することも少なくありませんが、面白いと感じられる要素も持っているのです。故人の遺品の中には興味を引かれる物や、驚かされる物などあります。

そういった物に遭遇できることが、遺品整理の現場仕事にある面白い要素だと言えるでしょう。

昔懐かしい物が出る

高齢の故人が亡くなった家の遺品整理をすると昔の人は物を大事にするためか、昔懐かしい物などがよく出てきます。

お正月にお餅をつくための木でできた臼と杵、雪道を歩くためにわらで編んだ草履などの昔話に出てくるような物から、昭和時代に流行ったオモチャやレトロ感のあるデザインの雑貨や服など見つかる物は色々です。

自分の知らない年代に使われていた物を見るのは、逆に新鮮味があり興味をそそられるところがあります。

変わった場所からへそくり

遺品整理の現場では遺品を片付ける中で、故人の隠し財産である「へそくり」を発見することもあります。へそくりは故人が他人に見つからないように隠しているため、変わった場所から出てきたりします。

へそくりを隠す定番の場所として、本の間に隠す、タンスや机のひきだしの中に隠すなどが多いでしょう。遺品整理の現場で見つかったへそくりでは、布団や座布団の綿の中や、米びつや漬物のぬか床の中に隠されていた事例があります。

遺品整理の現場で作業をしていると意外な場所からへそくりが出てくるので、ちょっとした探検気分が味わえます。

珍品にお目にかかれる

故人が特定のジャンルのコレクターであると、遺品整理の現場仕事で珍品にお目にかかれるチャンスがあります。自分がそのジャンルのマニアでなかったとしても、わざわざ蒐集されている物は流通が少ないので普通では見ることができません。

遺品整理の現場で珍品に遭遇するのは、博物館を見学する気分に似ているでしょう。知らないジャンルの珍品に触れるのは、新しい興味の目覚めにつながるかもしれません。

変わった物を見られるチャンスがあるので、遺品整理の現場にある面白さです。

特殊清掃と遺品整理は違う仕事?

特殊清掃は業者によって遺品整理を含むところもあるので、特殊清掃と遺品整理の仕事を同じに見ている人もいます。

仕事内容に似た部分はありますが、2つの仕事は違う仕事になります。その点について、解説していきます。

特殊清掃業者について

特殊清掃業者は部屋の清掃作業を行っていて、遺品整理は主な仕事ではありません。普通の掃除では処理が難しい現場の仕事を請け負い、室内についた汚れや臭気を専門的な清掃技術を使って現場を原状回復させます。

遺品整理は作業の過程で行う場合もありますが、特殊清掃業者がみんなするわけではないのです。先ほどご紹介した故人が孤独死・自殺した特殊案件などは、特殊清掃業者が依頼を受ける場合があります。

遺品整理業者の仕事とは

遺品整理業者の仕事は依頼者に代わって、故人の遺品を片付けることが役目です。遺品整理の仕事は現場が特殊案件だと特殊清掃業者と同じ作業を行いますが、通常の作業内容は遺品の分別、廃棄物の回収、遺品の買取、現場の掃除などになります。

遺品整理は特殊清掃業者が主な業務を清掃にしているように、遺品の整理を一番の目的にしています。故人の遺品を要る物と要らない物に選り分けて、依頼者の手に要る物を残して不用な物は適切に処理することが仕事です。

2つの仕事の違いとは

特殊清掃業者と遺品整理業者の仕事の違いは、仕事の目的が違う点にあります。特殊清掃業者は現場を掃除してキレイにすることが目的であり、遺品整理業者は現場から故人の遺品を片付けることが目的です。

遺品整理業者は部屋を原状回復させることも作業の一環に含みますが、それよりも故人の遺品の取り扱いを最も重視しています。特殊清掃業者が遺品整理を作業の中ですることがあっても、遺品への心遣いは遺品整理業者よりも雑になる傾向があります。

特殊清掃業者は部屋の掃除が一番大切で、遺品整理業者は故人の遺品の扱いが一番大切というのが、2つの仕事の大きな違いと言えるでしょう。

遺品整理業者の存在意義

遺品整理業者は個人でやると大変な作業を代行してもらえることが、大きな存在意義となっています。しかし、遺品整理業者はそれだけではなく、他の意味でも大きな存在意義を持つのです。

遺品整理業者が持つ存在意義は、故人の遺族が精神的に受けるダメージを軽減してくれる点でしょう。故人を亡くして辛い精神状態である時に、遺された物の整理をするのはさらに気持ちが落ち込む恐れがあります。

遺品の中には故人を思い出させる物もあるので、そういった物の捨てる・捨てないの判断をするのは遺族にとって精神的な負担が大きいです。そんな状態では遺品整理の現場にある物をすべて片付けるのに、かなりの期間を要してしまうでしょう。

遺品整理業者は遺族の代わりに現場の作業を行うことで、遺族が遺品を見て傷つかないようにもしてくれます。遺品整理業者の持つ存在意義は、ただの作業代行だけではありません。

まとめ

遺品整理の現場は家がひどく散らかっているゴミ屋敷状態を片付けたり、故人が孤独死・自殺した家の中を片付けることもあります。仕事としては大変な面ばかりのように見えますが、遺品整理をしていて変わった物に遭遇できる面白さも持っています。

特殊清掃業者と遺品整理業者の仕事は同じだと思っている人もいますが、仕事の目的は違うので依頼する時は注意しましょう。