仏壇を買い替えするだけではなく、仏壇そのものを継承できなくなって処分をしなければならないことがあります。住環境の変化や施設への入所、遺品整理、子どもがいないなどいろいろな事情からやむを得ず代々守られて来た仏壇を処分しなければならない時、後ろめたさや不安感に包まれることも当然あるでしょう。
この記事で分かること!
- 仏壇の処分方法を徹底比較できる!
- 仏壇の処分前に行うべき「閉眼供養」が良く分かる!
- 仏壇の処分の流れを理解できる!
この記事を読んでもらうと、不安や心配なく仏壇を処分できるようになります。処分方法の中から自分の気持ちに折り合いがつけられるものを見つけられると、後悔するのをできるだけ避けられるでしょう。供養の仕方や処分の流れを把握しておくと計画的に処分を進めていく際に役立ちます。仏壇の処分に関するいろいろな心配ごとは、大なり小なりあるものです。気になる心配ごとを解決して処分を進めて行きましょう。
仏壇を処分する方法
普通に家具を処分する感覚とはまるで違うのが、仏壇の処分です。代々守られて来た仏壇をどのように処分すれば良いのかを説明していきます。
菩提寺に依頼する
仏壇を処分するのに菩提寺へ依頼するのは、確実な方法です。菩提寺が住まいから遠い時には、同じ宗派のお寺を紹介してくれることもあります。檀家ではない場合ですが、その場合でも閉眼供養や仏壇の引取をお願いできるところもあるので、まずは相談から始めましょう。
お寺なら、閉眼供養と合わせて引取まで依頼ができるところもあり安心感があります。処分する仏壇は、お寺でお焚き上げしてもらうのが一般的です。このお焚き上げというのは、炎で浄化させる儀式のことです。自分で運搬ができない場合には、運送業者へ依頼するなどしなければなりません。
- 閉眼供養のお布施
- お焚き上げのお布施
- お寺までの運送費用
これらの費用がかかることを頭に置いておきましょう。
メリット | 閉眼供養(※)から引き取りまですべてお願いできる (※ 「仏壇処分の前にすべき閉眼供養」で説明しています) お寺が対応なので安心感がある |
デメリット | 費用がわかりづらい |
仏壇店に依頼する
菩提寺がなかったりお寺へ相談するのに抵抗があったりする場合には、仏壇店に依頼するのも選択肢の一つなので検討してみましょう。仏壇を買い替えする際には、古い仏壇を引き取ってもらえます。単純に引き取りだけでも応じてくれる場合もあるので、仏壇店に相談してみましょう。
その後、引き取りされた仏壇は単独ではなく合同供養という形でお焚き上げされるのが普通です。
メリット | 宗派にこだわらずに依頼できる 仏壇店に不明な点を相談できる |
デメリット | 費用が30,000~80,000円と割高になってしまう |
自治体の粗大ゴミで処分する
仏壇を自治体の粗大ゴミで処分する方法もあります。閉眼供養を済ませていれば、形は仏壇のままですが魂を抜いてもらっているため普通の箱物という扱いで問題ありません。仏壇は、木材・金具が用いられているためそのまま粗大ゴミで回収してもらえるのか、金具を外す必要があるのかをお住まいの自治体のルールに従うようにしましょう。
粗大ゴミの場合
粗大ゴミの条件として、幅・奥行・高さの3辺の合計が何㎝までとか重量が何㎏までとか決められています。粗大ゴミの回収品目に仏壇と明記されていない場合には、粗大ゴミの条件と一致しているかを確かめてください。
ほかの方法に比べると、収集費用は数百円から2,000円ほどで済み割安です。
燃えるゴミや燃えないゴミの場合
小型や中型の仏壇の場合には、解体を済ませればパーツの素材によって燃えるゴミや燃えないゴミにも分別して出せます。
メリット | 費用を安くできる 粗大ゴミ以外で回収できれば無料で済む |
デメリット | 搬出や解体の必要がある 粗大ゴミ置き場に置くと周辺の目を気にしなければならない ゴミとして処分するのに抵抗感が払しょくしづらい |
仏壇の回収専門業者に依頼する
仏壇の回収専門業者へ、依頼することも選べます。全国どこでも対応している業者もあり供養から解体、供養証明書の発行まですべて任せられる専門業者なので安心できます。
仏壇に使われていた木材は、チップになり再資源として利用されます。また、仏壇の回収専門業者では年に一度、供養の儀式を執り行うところもあるので、廃棄するだけではどうも気になる方はそういった供養もできるところを選ぶのもおすすめです。
メリット | 専門業者にすべて安心して任せられる 仏壇職人による解体なので心配なく依頼できる |
デメリット | 費用が60,000円程度はかかってしまう |
不用品回収業者・遺品整理業者に依頼する
手間をかけずに仏壇の処分を依頼するなら、不用品回収業者や遺品整理業者が便利です。お寺や仏壇店へ依頼するのは普段からなじみがなくて苦手という方なら、この方法を検討してみましょう。出張回収してくれるため、手間がかかりません。
回収後は、業者次第で供養を合同で行うところもあります。閉眼供養をたとえばお寺で済ませていれば、回収後の供養にこだわることなく選ぶこともできるでしょう。
ただし、不用品回収業者や遺品整理業者の中には悪質な対応になるところもあるので充分注意をしましょう。法外な請求をされたり、不法投棄されたりすることもあり得ます。
代々守り継がれた仏壇ですので、処分を依頼する業者は慎重に見極めるようにしましょう。身近な友人や親戚で利用したことがあり信頼がある業者がいれば、紹介してもらうのも一つの方法です。
メリット | 手間なく依頼できる ほかの不用品や遺品整理も同時に行える |
デメリット | 業者の選択は慎重に行う必要がある 費用は割高になる |
仏壇処分の前にすべき閉眼供養
仏壇を処分しなければならない時に、知っておきたいのが「閉眼供養(へいがんくよう)」です。「なんのために閉眼供養をしなければならないのでしょうか?」と疑問を感じる方もいるでしょう。お寺だけしか閉眼供養を依頼できないのかも気になるところですね。
閉眼供養とは?
仏壇は購入してその家の仏壇として祀られる際に、「開眼供養(かいがんくよう)」あるいは「御霊入れ(みたまいれ)」がなされています。そのため、仏壇を引取処分してもらう時や仏壇を引っ越しの際に移動させる時には、仏壇に入れられた魂を抜く儀式をするのが普通です。具体的には、宗派によって異なりますが住職の読経と水や塩などを供えた仏壇で儀式がなされるのが、「閉眼供養」です。
閉眼供養を終えた仏壇は、魂を抜いてもらっているため単なる箱物になります。
閉眼供養をしないままで仏壇を処分してしまうのは、魂の込められているままで解体や廃棄をしてしまうことになるので避けなければなりません。
お寺だけしか閉眼供養の依頼はできない?
仏壇の閉眼供養を依頼すると言えばお寺を思い浮かべる方が大半でしょうが、仏壇の処分ができる専門業者や遺品整理業者も応じてくれます。お寺との付き合いがない場合には、業者に供養と引取を同時に依頼することもできます。この場合は、供養と処分を一度に済ませられるため急いで処分したい場合には向いていると言えるでしょう。業者に依頼する供養は、合同供養と個別供養があるので意向に沿うものを検討してみるのがおすすめです。
閉眼供養の際のお布施はいくら?
閉眼供養をお寺にお願いする場合に悩んでしまうのが、お布施の金額です。一律でいくらと決まっているわけではないので、ある程度の相場を頭に入れておくしかありません。お寺次第で「お気持ちでお願いします」と言われることもありさらに分からなくなってしまいます。閉眼供養は、相場が10,000~50,000円ですので、相場を意識してお包みをするとまず問題ないでしょう。
閉眼供養を終えた仏壇を処分する際の流れ
閉眼供養を終えると仏壇店や不用品回収業者や遺品整理業者に安心して処分を依頼できるようになります。先述のように、不用品回収業者・遺品整理業者でも供養を提供してもらえるところもあるので自分の意向によって選んでも構わないでしょう。処分は、以下の流れで進めます。
採寸をする
まず、仏壇の幅・奥行・高さを採寸しておきましょう。
業者に見積もりを依頼する
仏壇の処分を依頼したい業者に見積もりを依頼しますが、この時に仏壇のサイズを伝えておくのを忘れないようにしてください。見積もりの提示で納得が行けば、正式に契約を交します。
引取予定日を決める
仏壇を引き取ってもらう日を決めます。
仏具の取り外し・掃除をする
引取日までに取り外しできる仏具は取り外しを済ませておきましょう。柔らかい布で汚れを拭き取ったり、仏壇専用クリームできれいに磨いておいたりしておくと引き取る際の安心感も得られると考えられます。
お位牌は、故人そのものという認識があるものですので、小さな仏壇にお位牌を入れて供養をしている方も少なくありません。
業者に回収してもらう
業者に仏壇を訪問回収してもらい処分は完了です。運び出された仏壇は、その後解体されるのですが、高級な材料を使用しているものはリサイクルされることもあります。
まとめ
やむを得ない事情から仏壇の処分に迫られた時、身内の意見と自分の思いが一致しないこともあるでしょう。私たちを見守ってくれているご先祖様の象徴として手を合わせていた仏壇を処分するのには、やはり心の折り合いをつけるまでの時間もかかってしまうのも当然です。
気持ちの区切りをつけられる処分方法で進めていくのに、どの方法が相応しいのかをじっくりと考えてみましょう。人それぞれの事情で供養・費用・手間のいずれを最優先にするかによっても、処分方法は異なってきます。
仏壇を処分するのは、やはりどの方法を選ぶにしても慎重に進めて行きたいものですね。「この方法ならもう何も案ずることもない!」と思える処分方法で厳かに進めて行きましょう。迷いが生じるようであれば、急を要する事情がない限り時間をかけて考えても良いのではないでしょうか?